独立行政法人宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部主催
2004年度「宇宙学校」レポート2 inTOKYO

テーマ☆宇宙を拓く技術

担当教官:小川博之先生・久保田孝先生


「近未来のロケット―宇宙旅行の実現を目指して―」 小川博之先生

漆黒の宇宙空間に浮かぶ青く透明な地球、そんな姿を「自分の目」で見る事が出来たら
どんなに素晴らしい事でしょう。さらに、体が宙に浮く「無重力の世界」を体験する事が
出来たら、それはもうきっと感動もの。ひょっとすると人生観さえ変わってしまうかも
しれません。選ばれた宇宙飛行士だけが経験できるこれらの世界を
「誰もが体験できる時代」、そんな時代がもう少しでやって来ようとしています。
その第一段階として考えられているのが大気圏外に飛び出して高度100km以上の宇宙
空間を飛行し、数分間の無重力状態を体験して戻って来る宇宙旅行です。アメリカの
Space Adventures社を初めとする数社が、このような短時間のためのロケット・
プレーンの開発に取り組んでいて2005年までには実現しそうです。費用は約10万ドル
(約125万円)、 多くの人が出かけるようになれば、その費用はさらに安くなるでしょ
う。 次の段階は地球の周回軌道です。近年行われた宇宙観光用ロケットの設計としては
マクダネル・ダグラス社の「デルタ・クリッバー」と日本ロケット協会の「観光丸」
(下画像:右上)があります。
 
この段階における宇宙旅行費用を億円の単位以下に抑えるには、打ち上げ費用を桁違い
に下げなくてはなりません。そのためには飛行機のように毎日頻繁に運行できる
「乗り物としての宇宙輸送システム」を開発しなくてはなりません。観光丸は50人乗り
の単段式完全再使用型垂直離着式ロケットですが、将来的には空気吸い込み式エンジン
を用いたスペース・プレーン(上画像:右下参照)も実現するでしょう。日本ロケット
協会によれば、観光丸を50機製造して1機当たりの年間離発着回数を300回と仮定する
と、一人当たりの旅行代金は200数十万円。また開発に必要な期間は、予備開発段階も
含めて約10年、試作機4機を含めた開発コストは1兆3000億円と見積もられていま
す。さらに進んで軌道に数時間から数日間滞在するような本格的な宇宙旅行には「宇宙
ホテル」が必要になるでしょう。日本は現在、国際宇宙ステーションの一部の建設を担当
していますが、その技術を応用すれば「スペース・ホテル」の建設も可能になるで
しょう。 
宇宙旅行の具体的な準備はもう始まっています。FAA(アメリカ連邦航空局)は、
ロケットの打ち上げや帰還にともなう官制、ロケット本体、乗員の健康などの規定に
ついて検討を開始しました。NASAとアメリカ宇宙輸送協会(STA)も宇宙産業の
可能性を前向きにとらえて、スペース・ポートについても概念検討を進めています。
技術的に克服すべき問題も沢山ありますが、民間投資による適度な資金が投入されれば
「宇宙旅行」は事業として成立するとの見通しが得られています。・・

ちなみに現在の宇宙旅行でかかる費用は、ロシアの場合で25億円。
沢山の人が行けるようになるには、一人当たり100万〜200万円の費用になるそう
です。宇宙科学研究本部では「RVT」と呼ばれる離着陸実験機で現在実験が行われ、
その動画も編集者は拝見しました。垂直に飛んで空中に数分留まり、無事に着地する様子
が見られました。エンジン音は雷のような物凄い音がするそうです。
宇宙旅行が実現できるようにがんばっていますおっしゃっていました。
 
フライトはこのような感じになります。(下画像)

日本ロケット協会について
編集者の私も宇宙をこの眼で見てみたいです。極めて美しいであろう地球の姿を。
地球を宇宙から撮影したCD-ROMで我慢ですね。(笑


「日本初の小惑星ロボット・ミネルバ」 久保田孝先生

21世紀は、人類が月や惑星など太陽系に全く新しい文明圏を創り出す時代になると期待
されています。月や火星などでの生活が実現するかもしれません。そのステップとして、
探査機が打ち上げられ、惑星の探査が盛んに行われています。宇宙に飛び立った探査機は
天体の写真を沢山撮り地球に送信してます。月や火星やその他の天体がどうなっている
のかを知る事が出来ます。

宇宙には様々な種類の天体があります。その中で、彗星や小惑星などの小さい天体は、
太陽系が誕生した当時の証拠を残していると考えられています。そのため、小惑星や彗星
などの始原天体探査ミッションが積極的に行われています。
小天体の観測には、いろいろな方法があります。今までは、望遠鏡を用いた地球からの
観測や探査機が天体の近くを通り過ぎる時に観測を行う方法がよく用いられて
来ました。これからは、小天体表面へ着陸して、表面を移動しながら探査を行うロボット
が注目されています。
 
宇宙科学研究所は、去る2003年5月9日に小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」
を打ち上げました。探査する天体は、1998SF36です。探査機は小惑星の近く
から観測を 行った後、小惑星の表面に接近して、表面の砂や石を収集し、地球に持ち帰り
ます。 「はやぶさ」には、日本初の惑星探査ロボットが搭載されています。
このロボットは、探査機がサンプル採取のため表面に接近する時に、小惑星の表面に向け
て放出され、数日間に渡って小惑星の表面を移動しながら詳しい観測を行います。この
ロボットをミネルバと言います。小惑星の大きさは小さいため、重力が非常に小さいのが
特徴です。そこで、ミネルバはホップしながら移動する新しい機能を持っています。
 
今後の惑星探査では、様々なタイプのロボットが我々の代わりに探査を行ってくれます。
そして、近い将来、我々が宇宙へ進出するための貴重なデータを取得してくれます。・・

上画像の右ですが、上からホッピングメカニズム、未知環境適応能力、小型・軽量・
低消費電力、自律探査行動、科学観測(表面ステレオ画像・温度計測)となっています。
大変ユニークで頭のいい装置ですね。・・無事に成功する事を祈ります。

― 質問コーナー ―
Q:旅行で宇宙に行くには宇宙飛行士のような訓練が必要なのですか?

A:小川先生
皆さんが行く頃には必要ないでしょう。

Q:スペースデブリ(人工宇宙ごみ)の分布と動きについて?

A:的川校長
10センチ以上のものについてはレーダーで見つけるのが可能で、NASA発表によると
360万個ほどあり、未だに回収のめどは立っていない。また、大気圏に落ちるものも
あったり、スペースデブリに衝突して衛星が停止する事故も実際に起こっています。
およそ、秒速8キロメートル内外で地球を周回しています。
デブリの分布範囲は一番遠くて月の周回軌道の38万キロメートル位だと思います。
太陽周辺までは行かないでしょう。

Q:NASAは月に行ったのでしょうか?(よくぞ言いました)

A:久保田先生
分かりません(会場、笑い)。私は月に行ったと思います。
A:的川校長
テレビでいろいろ言われているようですが、私はオードリー(アポロ宇宙飛行士)に
直接聞いたことがあるのですが、旗がはためくように見えた事について、
オードリー自身が旗がはためくように見えたらいいと思い、
旗を寄せてはためくように見せたと言っていました。その証拠に旗が写っている
どの写真を見ても、旗のしわが同じ事で説明出来ます。

・・このようなお話を聞けたのは貴重でした。
編集者もアポロは月に行ったと思っています。ですが何か隠してるとしか思えません。

編集者:by緋月 

次へ(銀河とブラックホールの世界)


2004年2月14日公開
    

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